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それはさうだ、永いことにちがひない、と房一はゆつくりと歩きつゞけた。多分、彼は彼で、自分のこれからの生涯を、その計りがたく、茫漠とした行手を見ていたのだらう。
「これから又お出掛けかね」
三間つゞきの奥座敷では蝋燭だの燈芯の明りで照し出された仏壇を前に、来客達が思ひ思ひの所にかたまつて坐つていた。
「さうだ」
練吉は盃を口にふくみながら答へた。
と、一向にそんなことを知らない房一が云つた。
房一は面喰つて、ぽかんと口を開けた。
――「やあ、おいでなさい。わたし相沢です」
と気のない返事をした。
「お忘れかもしれませんが、高間道平の息子でございます。――今度、医者としてこの町へ戻りました者で――」
「いや、あの晩の、ほんの三二日前です」
「それあ、もう、掘つても掘つても屑みたいなものしか出ないつて云ふんだがね。まあ、天領の時分に良いところはそつくり掘り上げてしまつたんだらうね。その山をまだ見所があるつて云ふんだから、あてになるやうなならんやうな話だあね」
あるとき一人の女の客が私に話をした。